宇宙の謎を解き、人類の未来に役立てる「宇宙線」研究の最前線

理学部物理学科 内山 泰伸 教授

2017/03/16

研究活動と教授陣

OVERVIEW

ガンマ線観測を中心として、高エネルギー天文学・宇宙物理学の研究に幅広く取り組んでいる。ガンマ線観測検出器の基礎研究も進めている。

目に見えない「宇宙線」の成り立ちを突き止める

地球には宇宙から日常的に「宇宙線」と呼ばれる、高いエネルギーを持つ粒子が届いている。宇宙線の存在は約100年前に発見されたが、どこでどのように生まれるのか、その起源については長く謎に包まれていた。
それが近年、銀河系の宇宙線は、超新星の爆発から生まれると考えられるようになり、その確かな証拠を人工衛星を使った観測で突き止めたのが、物理学科の内山泰伸教授が主導的な役割を果たした国際研究チームだ。
「宇宙線の起源の探究は、世界中の研究者が数世代にわたってバトンタッチしながら進めてきて、今はかなりゴールに近いところにいます」
と内山教授は目を輝かせる。宇宙線の起源が明らかになるにつれ、宇宙線は銀河の星の誕生や地球の気象現象に影響を及ぼすことも分かってきているという。
「宇宙研究は一つの謎が解明されても、次々と新たなテーマが生まれ、進化し続けています。人類が続く限りずっと面白い研究分野だといえるでしょう」

ピラミッドや火山内部の透視技術にも応用

内山教授にとって宇宙線の起源を探るテーマは、宇宙の謎に迫る知的好奇心に基づいたライフワークだという。一方で現代のニーズを捉えた、宇宙線を活用しての技術開発にも積極的に取り組んでいる。その一つが「ミューオグラフィ」と呼ばれる透視技術だ。
「宇宙線には分厚い壁も透過する性質があります。これを、X線を用いたレントゲン撮影の原理で活用し、ピラミッドや火山の内部を透視するのです」
新たな歴史の解明や災害対策につながる可能性をも秘めた宇宙線。その幅広い研究分野に魅力を感じて内山研究室には意欲的な学生が集まってくる。
「研究の守備範囲が広いことを生かし、学生一人一人が独自のテーマを持ち、各々が主役となって取り組めるようにしています」
それだけに学生には主体性が求められるが、少数精鋭でクオリティの高い研究が展開されている。毎年のように高エネルギー天文学分野の国際会議において、大学院学生が口頭発表を行う。2017年夏には内山教授が組織委員を務める国際会議が池袋キャンパスで開催され、分野をけん引する多くの研究者が海外から参加する。世界最前線の研究が身近な環境で、学生もその舞台に立つことが夢ではない。

プロフィール

PROFILE

内山 泰伸 教授

理学部物理学科
宇宙地球系物理学研究室
ガンマ線観測を中心として、高エネルギー天文学・宇宙物理学の研究に幅広く取り組んでいる。ガンマ線観測検出器の基礎研究も進めている。

※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。

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