公開講演会「自由への長い道 アパルトヘイト廃絶を勝ち取った市民の力」
INFORMATION
共生社会研究センターは、主として1960年代から90年代にかけて日本各地の市民が取り組んだ反アパルトヘイト運動の記録を所蔵・公開している。これらの記録は、アパルトヘイト下の南アフリカにおいて、黒人に対する抑圧・差別と闘う人々と連帯した日本の市民たちの活動の貴重な証拠であるとともに、日本の市民たちの運動を、世界各地で展開した国際的連帯運動の内部に位置づけるものでもある。
「人類への犯罪」と位置づけられた南アフリカのアパルトヘイト。その廃絶に向けて、南アフリカ聖公会のデズモンド・ツツ大主教は南アフリカ政府に対する経済制裁を世界に呼びかけ、アメリカのパプティスト教会のサリバン牧師は、南アフリカ進出企業の投資引き上げを提唱した。世界中の市民がこれに連動し、アパルトヘイト政権に対する経済制裁を求め、市民自らも南ア製品のボイコット運動を進め、このような連帯運動がアパルトヘイト廃絶につながった。
人権重視の社会運動は、1990年代を通じ、アジアで過酷な労働を強いてきたナイキ社製品のボイコット、ナイジェリアで環境破壊を繰り返していたシェル社を巡る裁判などへと発展した。世界中の市民運動が企業活動を人権重視の姿勢へと変え、多国籍企業は国際的な市民運動の監視の下に置かれるようになっていった。その展開過程は、人権を重視することは企業の責任であることを原則とする「ビジネスと人権指導原則」(2011年)に連なっていった。
そこでこの講演会では、青年時代に反アパルトヘイト運動を担い、現在は駐日南アフリカ大使館公使である当事者と、反アパルトヘイト運動のリーダーを父に持ち、いまは日本でパレスチナ問題に関わる日本人青年にご登壇いただき、人権問題に目をむけ行動することで世界は変えられることを参加者とともに議論したい。
講演者
駐日南アフリカ共和国大使館公使(科学・イノベーション・教育担当)
Ghaleeb Jeppie(ハリヴ ジェピー) 氏
西ケープ大学とロンドン大学で学ぶ。1994年、南アフリカ共和国初の民主的選挙後に公職につき、ユネスコ国内委員会を含め、様々な国際委員会の委員を歴任。学生リーダー、活動家として反アパルトヘイト運動に加わり、1980年代後半にジンバブエで亡命生活を送った。
ゾーホージャパン株式会社、アフリカンユースミートアップ(AYM)メンバー
植田 由希 氏
1997年、南アフリカ・ケープタウン生まれ。父は南アフリカ人で反アパルトヘイト運動のリーダーだった。母は日本人。5歳で日本に来て、高校まで千葉で育つ。国際基督教大学(ICU)卒業。政治哲学を専攻し、卒論では沖縄の基地問題をテーマにした。現在はインド系のIT企業で働きながら、パレスチナに連帯する活動に力を注いでいる。