レクチャーコンサート「ドイツロマン派の宗教音楽」
INFORMATION
バロック後期から古典派の時代のドイツ(語圏)の宗教音楽は、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと、今も演奏会のレパートリーの中心を成しています。その系譜はロマン派の作曲家にも受け継がれて行くのですが、メンデルスゾーンやブラームス、ブルックナーの認知度は高いものの、さて、他に誰が居たかとなると今一つあいまいです。シューベルトとリストが加わるくらいでしょうか?しかし、実は19世紀は宗教的な感情が高揚した時代でした。有名無名の作曲家たちによって宗教音楽も途切れることなく生み出されたのです。
今回はそれらの中から、ルイ・シュポーア(1784-1859)、オットー・ニコライ(1810-1849)、ローベルト・シューマン(1810-1856)の作品を選んでメンデルスゾーン、ブルックナーと組み合わせてみました。作曲家それぞれの個性や、プロテスタントとカトリックの違いを比較しつつ、全体を通して感じられる時代の精神についても考えを巡らせる事が出来ればと思っています。
講師
指揮
本学大学院キリスト教学研究科兼任講師
大島 博 氏
熊本県生まれ。中央大学卒業後、東京藝術大学音楽学部声楽科に入学。同大学院在学中の86年、ミュンヘン音大に留学、エルンスト・ヘフリガーに学ぶ。90-91年D.フィッシャー=ディースカウに師事。95年東京藝術大学大学院博士課程を修了。宗教曲の分野で、初期バロックから現代作品まで幅広いレパートリーを持ち、とりわけバッハの受難曲における福音史家の演奏には定評がある。また、ドイツ・リート及び日本歌曲の演奏にも積極的に取り組んでおり、96年から<ドイツ・リートのたのしみ>と題した、ドイツ歌曲を知るためのレクチャーを行う。2004年からはシューベルトの《冬の旅》演奏会を毎年開催している。さらに合唱指揮者、発声指導者としても幅広く活動する傍らドイツ詩の翻訳も手がけ、近年は楽譜の校訂・編集にも携わっている。
オルガン
東北学院大学教養教育センター教授、大学オルガニスト、同宗教音楽研究所々長、日本キリスト教団霊南坂教会オルガン主任、一般社団法人日本オルガニスト協会監事、日本オルガン研究会会長、一般財団法人キリスト教音楽院評議員
今井 奈緒子 氏
東京藝術大学、ドイツ・フライブルグ音楽大学オルガン科卒業。オルガンを河野和雄、故秋元道雄、廣野嗣雄、ジグモント・サットマーリの各氏に師事。1985年ドイツ・ゲオルグ・ベーム国際オルガンコンクール、88年ベルギー・ブルージュ国際バッハ・コンクールに入賞。日本・ヨーロッパ各地におけるソロ活動のほか、経験豊かな通奏低音・アンサンブル奏者として共演者から信頼を得ている。ソロCDに「シャイトのアラマンダ」「バッハ:クラヴィーア練習曲集第3部」「スウェーデン7つのオルガン」等。バッハ・コレギウム・ジャパン創設時からのメンバーとして教会カンタータシリーズをはじめとする国内外での公演、CD録音に数多く参加した。
合唱
ジングアカデミー東京
大島博氏の呼びかけにより、19世紀ドイツで隆盛を誇った合唱音楽の研究、演奏運動に範を求め、さらに遠く「アカデメイア(快楽)」の原義に戻って「歌う快楽(Singakademie)」を追求しようと2009年に発足。各人が自立した音楽家として作品に取り組み、自由な雰囲気の中で有機的なつながりを持つ集合体として、完成度の高い音楽を作り上げることをめざしています。これまでにH.シュッツ《マタイ受難曲》、F.リスト《十字架への道》《ミサ・コラーリス》、H.ディストラー《クリスマスの物語》、F.マルタン《2群の4声合唱のためのミサ曲》、H.ハウエルズ《レクイエム》、J.マクミラン《ミゼレーレ》など、比較的演奏される機会の少ない作品を演奏してきました。またJ,ブラームス《ドイツ・レクイエム》、A.ドヴォルジャーク《スターバト・マーテル》のオルガン伴奏での上演により、楽曲へのより細やかなアプローチを試みています。