公開シンポジウム「東欧地域研究の未来——柴宜弘先生追悼シンポジウム」
INFORMATION
ヨーロッパ東部を対象とする学問的な地域研究が日本で取り組まれるようになってから、およそ半世紀となる。冷戦や社会主義体制は過去のものとなり、西欧型の社会への転換からも30年以上が経過した。では今日、いわゆる「東欧」と呼ばれる地域を研究することは、どのような意味をもち、いかなる視点や可能性を提示しうるのか。黎明期から日本の東欧地域研究を支え、2021年5月に急逝された柴宜弘先生(東京大学名誉教授、東欧地域研究・バルカン近現代史専攻)を追悼する研究集会として、歴史研究を中心に、史学史・歴史教育・越境する個人をそれぞれ扱った3報告、および各コメントを提示しながら、東欧地域研究をあらためて捉え直し、その未来について考える機会とする。
東京大学名誉教授・城西国際大学特任教授(逝去時)
柴 宜弘(しば のぶひろ) 氏
東欧地域研究・バルカン近現代史専攻。主な著書に『ユーゴスラヴィアの実験』『ユーゴスラヴィアで何が起きているか』(ともに岩波書店ブックレット)、『ユーゴスラヴィア現代史(新版)』(岩波書店 2021)、『バルカンの民族主義』(山川出版社 1996)、『図説バルカンの歴史』(河出書房新社 2019)、『バルカン史と歴史教育』(編、明石書店 2008)、『ボスニア・ヘルツェゴビナを知るための60章』(共編、明石書店2019)、『バルカンを知るための66章』(共編、明石書店2016)ほか多数。訳書にクリソルド編『ユーゴスラヴィア史』(共編、恒文社)、マッケンジー『暗殺者アビス』(共編、平凡社)ほか。1946-2021年
講師
報告者
早稲田大学総合研究機構ロシア研究所招聘研究員
百瀬 亮司(ももせ りょうじ) 氏
東欧史学史、バルカン地域研究。主な著書は『アイラブユーゴ—ユーゴスラヴィア・ノスタルジー1~3』(共著、社会評論社、2014-2015年)、『セルビア語読解入門』(大阪大学出版会、2012年)など。
学習院女子大学国際文化交流学部教授
中島 崇文(なかじま たかふみ) 氏
ルーマニア史、モルドヴァ史。主な論文は「冷戦終結後のルーマニアにおける民主主義の進展」(永松雄彦・萬田悦生編『変容する冷戦後の世界—ヨーロッパのリベラル・デモクラシー』春風社、2010年)など。
城西国際大学国際人文学部教授
柴 理子(しば りこ) 氏
国際交流史、ポーランド近現代史。主な業績は"Katerina Todorović (1877-1974): A Central European Pianist and the Japanese Reception of Western Music in the Early 20th Century" (Ž. Lazarević et al. (eds.), The 20th Century through Historiographies and Textbooks: Chapters from Japan, East Asis, Slovenia and Southeast Europe, Ljubljana, 2018)、『【増補改訂】日本・ポーランド関係史』(単訳、彩流社、2019年)など。
討論者
同志社大学グローバル地域文化学部准教授
立石 洋子(たていし ようこ) 氏
ロシア・旧ソ連史。主な著書は『スターリン時代の記憶—ソ連解体後ロシアの歴史認識論争』(慶應義塾大学出版会、2020年)、『国民統合と歴史学—スターリン期ソ連における『国民史』論争』(学術出版会、2011年)など。
跡見学園女子大学文学部教授
石田 信一(いしだ しんいち) 氏
東欧地域研究、旧ユーゴスラヴィア・クロアチア近現代史。主な著書は『クロアチアを知るための
60章』(共編著、明石書店、2013年)、『ダルマチアにおける国民統合過程の研究』(刀水書房、2004年)など。
名古屋市立大学人間文化研究科教授
山本 明代(やまもと あきよ) 氏
ハンガリー史、移民研究。主な業績は「ヨーロッパ移民からみた米国のレイシズム」(『歴史評論』869、2022年)、『移動がつくる東中欧・バルカン史』(共編著、刀水書房、2017年)など。