公開講演会「自分事として考えるロヒンギャ難民問題」
INFORMATION
公開講演会「自分事として考えるロヒンギャ難民問題」
~学部公開講演会『言語と社会や文化を<つなぐ>:世界と切り結ぶ異文化コミュニケーション』の一環として~
UNHCRによると、2022年、難民や国内避難民などの強制移動者数は1億人を突破し、過去70年間で最大となった。国民国家からの庇護を前提とした社会秩序から外れた人びとの不安や不満、厳しい生活状況を放置すれば、民族間・宗教間の断絶が深まり、国際社会全体が不安定化する恐れがあることから、複合的な難民研究の重要性が高まりを見せている。
日本においてもウクライナやアフガニスタンからの難民受け入れを巡り、難民制度や受入実施体制に関する議論が熱を帯びている。しかしながら一方で、日本の難民認定者数が極めて限られていることなどの理由から、実際に難民となって日本で暮らす人びとのストーリーを直に聞く機会は限られている。それゆえ、国際的には極めて大きな課題でありながら、日本では難民問題を身近な問題として捉えることが困難な状況が生まれている。
本公開講演会は、難民として日本に暮らす長谷川留理華氏をお招きし、ロヒンギャ難民を事例に、難民となった人びとが母国を離れ、第三国へとたどり着き、社会に適応するまでの軌跡を当事者の視点から論じ、日本の難民受入課題とともに理解を深めることを目的とする。また、日本の移民・難民研究を専門とする武庫川女子大学の加藤丈太郎氏の発表、および異文化コミュニケーション学部・研究科の学生らとの討論を通じて、どうすれば難民問題を日本社会が「自分事」として捉えることが可能になるのか、議論を深めたい。
講師
在日ロヒンギャ難民、ロヒンギャ語翻訳家、無国籍ネットワーク理事
長谷川 留理華 氏
ミャンマー北西のラカイン州(アラカン)に生まれる。1992年に首都ヤンゴンに家族とともに移る。身の安全のためロヒンギャ民族であることを公にせずに生活を送る。2001年に度重なる迫害や差別から家族とともに来日。2013年に日本人となる。現在、在日ビルマ・ロヒンギャ協会、無国籍ネットワーク理事。ロヒンギャ語の翻訳等の業務を行うかたわら、早稲田大学、立教大学、上智大学、獨協大学等で講演。NHK ETV、OUTUBEの報道チャンネル等の番組に出演して自身の体験した社会問題を広く伝える活動を行っている。
武庫川女子大学専任講師
加藤 丈太郎 氏
1981年東京都生まれ。武庫川女子大学文学部英語文化学科専任講師。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は移民研究、国際労働移動、国際社会学、多文化共生論。2017年3月までNGOにおいて非正規移民に在留資格を求める活動に従事。2017年4月に研究の道に転じ、現在は主にベトナムから日本への国際労働移動による日本・ベトナム社会への影響を研究している。また、大学生と共に国際移動・多文化共生のあり方を考えている。主な著作に、『日本の非正規移民ー「不法性」はいかにつくられ維持されるか』(単著、2022、明石書店)、『多文化共生 人が変わる、社会を変える』(共著、2018年、凡人社)『ロヒンギャ問題とは何か──難民になれない難民』(日下部尚徳・石川和雅編著、第6章分担執筆、2019、明石書店)がある。
本学異文化コミュニケーション学部4年次
リュウ イオギ(LIU YIDI) さん
本学大学院異文化コミュニケーション研究科博士課程前期課程2年次
川野 優希 さん
詳細情報
名称
内容
18:00~18:15
ロヒンギャ難民問題の概要説明-クーデター以降の動向も踏まえて-(日下部尚徳)
18:15~18:45
ミャンマーの少数民族ロヒンギャとして生まれたわたしが日本で生きて、今語りたいこと-いじめと差別を乗り越えて-(長谷川留理華氏)
18:45~19:10
移民・難民との共生に向けて-私たちにできることを考える -(加藤丈太郎氏)
19:10~19:25
異文化コミュニケーション学部・研究科の学生との討論
19:25~19:40
質疑応答