公開シンポジウム「大久保利謙と日本近代史研究 家族・学問・教育」
INFORMATION
明治維新の立役者である大久保利通を祖父、大阪府知事の大久保利武を父とする大久保利謙(1900-1995)は、日本の歴史学者である。戦後、その人脈を通じて国立国会図書館に憲政資料室を創設するとともに、名古屋大学ならび立教大学教授をつとめた。大久保は、従来研究対象とはみなされていなかった日本近代史研究を学問分野として確立し、政治史、行政史、文化史、大学史、洋学史、史学史など多様な分野において学問的基礎を築いた。史学史上重要な位置を占めるにもかかわらず、またその著作集(『大久保利謙歴史著作集』8巻、吉川弘文館、1986-1993)ならびに自伝(『日本近代史学事始め』岩波新書、1996)は刊行されているにもかかわらず、いまだ大久保自身の研究業績や活動に対する検討はなされていない。本シンポジウムはそのような大久保の活動や業績を史学史に位置付ける初の試みである。
シンポジウムでは、大久保の影響の下に近代日本の歴史学と国家の関係を解明した『History and the State in Nineteenth-Century Japan』(Palgrave-Macmillan, 1998)の著者であるマーガレット・メール博士による基調講演が8日に、佐藤雄基、松沢裕作、小澤実、そして大久保の自伝の編集に関わった今井修による大久保の活動の様々な側面の報告が9日に開催される。なお、9日には、大久保利謙の蔵書(大久保文庫)を擁する立教大学図書館に所蔵されている大久保文庫資料の展示会も行う。
講師
コペンハーゲン大学准教授
マーガレット・メール 氏
PhD(ボン大学)
主著に、Not by Love Alone: The Violin in Japan, 1850 – 2010, Sound Book Press, 2014;Private Academies of Chinese Learning in Meiji Japan: The Decline And Transformation of the Kangku Juku, Nordic Institute of Asian Studies, 2005;History and the State in Nineteenth-Century Japan, Palgrave-Macmillan, 1998(東京大学出版会より邦訳刊行予定).
慶應義塾大学経済学部准教授
松沢 裕作 氏
博士(文学、東京大学)
主著に、『自由民権運動〈デモクラシー〉の夢と挫折』(岩波新書、2016);『町村合併から生まれた日本近代 明治の経験』(講談社選書メチエ、2013);『明治地方自治体制の起源 近世社会の危機と制度変容』(東京大学出版会、2009)ほか。
早稲田大学ほか非常勤講師
今井 修 氏
共著に、『岩波講座日本の思想1「日本」と日本思想』(岩波書店、2013);『津田左右吉歴史論集』(岩波文庫、2006);「日本近代史学史研究の構想と方法-その史学史的検討-」『社會科學討究』41-3(1996):293-311 ほか。
本学文学部准教授
佐藤 雄基
本学文学部准教授
小澤 実
詳細情報
名称
内容
マーガレット・メール 氏
「大久保利謙先生と私の研究 史学史・漢学教育・音楽史を中心に」
佐藤 雄基
「大久保利武と利謙:立教大学図書館所蔵大久保コレクションからみた大久保父子の学問形成」
松沢 裕作 氏
「大久保利謙と戦後日本近代史研究の出発」
小澤 実
「大久保利謙と1950-60年代の立教大学史学科」
今井 修 氏
「大久保史学の史学史的位置」
対象者
申し込み
- 事前申し込み 不要
- 参加費 無料