科研費研究『知のエコロジカル・ターン』公開シンポジウム『まちの技能』:地域の創生、まちの再生
INFORMATION
「まち」とは、人が自然環境を改変しながら、集団的な住処とした場所のことである。まちにおいては、全体と部分のさまざまなスケールにおいて、人間と場所がインタラクションし、それによって自然の中で集団生活する技能が生み出される。この「まち」において生み出されている技能を、生態心理学、とくにアフォーダンスの概念を駆使しながら探究することがこのシンポジウムの狙いである。単にまちの現状を分析するだけではなく、まちのなかで生活し、そこを利用している人たちの経験(ユーザーエクスペリエンス)をどのように場所のデザインに活かせるか、生活者と利用者(訪問者)がどのような形で設計に参加できるか、さらに訪問と利用を通して場所のどのような再設計と発展が可能かについても議論する。
講師
東京工業大学大学院社会理工学研究科教授
桑子 敏雄 氏
博士(文学)(東京大学) 南山大学文学部助教授などを経て、現職。西洋、中国、日本の人間観・自然観の対比を通して、「空間学」の構築するとともに、市民参加による自然再生・環境再生と「社会的合意形成」の実践的・理論的研究を進めている。『風景のなかの環境哲学』(2005)、『わがまち再生プロジェクト』(2016)など著書多数。
東洋大学ライフデザイン学部教授
川内 美彦 氏
博士(工学)(横浜国立大学)一級建築士、日本におけるユニバーサル・デザインの第一人者として、障害のある人の社会への関わりを権利として確立していく活動を展開するとともに、だれにも使いやすく、安全な建物やまちづくりについて発言している。単著『ユニバーサル・デザインの仕組みをつくる』(2007)、『ユニバーサル・デザイン-バリアフリーへの問いかけ』(2001)など。
東京理科大学理工学部教授
吉澤 望 氏
博士(工学)(東京大学) 専門は建築環境・光環境。照明シミュレーションによって光の挙動を求め、その結果から建築空間の見えを予測する手法を、実空間の調査・模型実験などを通して導き出すことを研究している。共著『光の建築を読み解く』(2015)、『知の生態学的転回2技術』(2013)。
北海学園大学人文学部教授
柴田 崇 氏
博士(教育学)(東京大学)専門、現代メデイア論、メディア史。現在の技術革新によって生じているメディア環境の根本的な変化について思想史と生態心理学の観点からアプローチしている。単著『マクルーハンとメディア論:身体論の集合』(2013)、共著『知の生態学的転回2技術』(2013)。
東京都市大学環境情報学部講師
関 博紀 氏
博士(学際情報学)(東京大学)専門、デザイン学、都市計画・建築計画。「つくること」と「つかうこと」の可能性を、生態心理学、認知科学、デザインの観点から研究している。共著『環境のオントロジー』(2008)、『知の生態学的転回2技術』(2013)。
岩手大学教育学部教授
宇佐美 公生
文学修士(東北大学)、専門は、道徳の基礎づけ、正義論、自由論、自然主義、カント。現在、道徳教育についても研究している。著作『人間・文化・社会』(1998)、『<問い>としての道徳教
育』(2010)、翻訳:ハンス・ヨナス『主観性の復権』など。