公開講演会「近代の編成原理—イギリス、アメリカ、日本における組織、倫理、専門知」
INFORMATION
組織化、専門化、科学化を大きなメルクマールとした近代像についての再検討が始まっている。国家機構を軸にして専門家たちが社会の主導権を握るといった理解に対して、さまざまな民間団体が多様な知や倫理とともに折衝をつづけるなかで生まれる社会の動態を解き明かそうとする試みである。本講演会は特に「福祉の混合体」論などで注目を集める中間団体とそこでの知のありようについて、イギリス、アメリカ合衆国、日本の事例を比較しつつ考えてみたい。 イギリスについては、近世におよぶ長い射程からこの問題を研究して斯界をリードしている長谷川貴彦氏(北海道大学教授)に講演を依頼した。企画者松原宏之は、やや時代を下ったニューヨークにおいて医科学知と倫理と社会改良への志向とがせめぎあう場となった民間福祉団体を素材とする。日本公衆衛生史の新人気鋭宝月理恵氏(お茶の水女子大学特任講師)は、第二次世界大戦中の日本における子どもの食事という現場をめぐって、通説の再検討を図る。精神病の発見期を洗いなおしている医療史・精神医療史の高林陽展氏(清泉女子大学専任講師)から分野横断的コメントを得て、この国際比較シンポジウムを実り豊かなものとしたい。
講師
長谷川 貴彦 氏
1963年生。博士(文学、東京大学)。北海道大学文学部助教授、ロンドン大学客員研究員などを経て、北海道大学文学研究科 歴史地域文化学専攻教授。
宝月 理恵 氏
1976年生。博士(社会科学、お茶の水女子大学)。お茶の水女子大学教育開発センター・アソシエイトフェローなどを経て、同大グローバルリーダーシップ研究所特任講師。
高林 陽展 氏
1977年生。Ph.D.(History of Medicine、ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)。東洋大学国際共生社会研究センター研究助手などを経て、清泉女子大学文学部文化史学科専任講師。
詳細情報
名称
内容
「『底辺』からの産業革命—長い18世紀イングランドの中間団体と貧民」
松原 宏之 (本学文学部教授)
「医療、福祉、社会運動の境域で—20世紀初頭ニューヨークの訪問看護婦たち」
宝月 理恵 氏 (お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所特任講師)
「規律と実践のあわい—戦時期日本における子どもの食べることをめぐって」
《コメント》
高林 陽展 氏(清泉女子大学文学部専任講師)
《司会》
後藤 雅知 (本学文学部教授)
対象者
※申込不要、入場無料