文学部を選んだ理由

学部別在学生インタビュー(大学案内2024)

2023/05/18

立教を選ぶ理由

OVERVIEW

文学部に所属する在学生にそれぞれの学科を選んだ理由などを聞きました。

文学部キリスト教学科4年次 森田 祐生さん(石川県 金沢泉丘高等学校)

■学科での学びをとおして得たもの
宗教という視点を得ることで、資本主義や科学が支配的になっている現代の世の中を無自覚に受け入れるのではなく、「世界の仕組み」を解読しようとする姿勢が身につけられました。以前は漠然としか見えていなかった世界が、宗教や哲学、思想を学ぶことで、よりはっきりした輪郭を持って浮かび上がってくるようになったことは、私にとって大きな収穫でした。

■おすすめの科目
「フィールドワーク」は非常に学びの多い授業でした。キリスト教的な視点で世界を再解釈することで、現代における宗教の価値をあらためて実感できました。ゼミでは、毎週、論文を輪読し議論を重ねたことで、問題設定の重要性を知り、学問的な態度を養うことができました。また、すでに世に出ている書物や論文の内容を鵜呑みにすることなく、一旦、自分なりの考察を加えることで、権威におもねらない批判的思考力を身につけられました。

■将来の目標
卒業後はIT業界に進みます。私が学んできた宗教や思想の知識は、業務ですぐに役立つものではないかもしれません。しかし、実用性で物事の価値を判断すること自体が現代のロジックにはまっているということに気づけている時点で、学科での学びがすでに役立っていると感じています。将来的に大学での学びがどのような形で生かされるかわかりませんが、学生生活で得たものが正しかったと胸を張って言えるように、自分なりの正解を出し続けていきたいと思っています。

文学部文学科英米文学専修4年次 中川 晴さん(岐阜県 高山西高等学校)

■学科での学びをとおして得たもの
英米文学専修では、異なる国や時代の文学に多く触れることができます。文化や時代が違えば、当然、現代の日本人とは考え方や価値観も全く異なります。そのため、文学を学ぶには、作品の内容だけでなく、作者が暮らした国の文化や時代背景まで学びとる姿勢が求められます。こうしたアプローチで文学を読み解くことを繰り返すうちに、理解し難い物事に直面した時、その周囲にあるさまざまな事象に着目して、多角的に考える習慣が身につきました。

■おすすめの科目
「文学講義416」では、音楽、映画、演劇、文芸と幅広い分野で評論家として活躍しており、私自身も大きな影響を受けた佐々木敦先生の講義を聞くことができました。さまざまな表現手法と比較をしながら、演劇というメディアでしかできない表現とはどういうものかを明らかにしていく授業では、幅広く批評に携わってきたことで得られた知見の広さと、常に文化の最前線を探求する姿勢が伝わってきて、大きな刺激を受けました。また、知識を比較・相対化することの重要性も学びました。

■研究テーマ
アメリカの作家ウィリアム・S・バロウズの作品に着目し、文学と音楽の関係性をテーマに卒業論文を制作しています。バロウズは文章を切り貼りする手法で小説や詩を書く奇抜な作家ですが、その作品は時代や文学の領域を超え、さまざまなカルチャーに影響を与えています。中でも音楽は、彼の思想を最も独創的に解釈し、取り込んでいった文化だと言えます。その関係性に注目することで、人間の創作という営みの本質を見出したいと考えています。

文学部文学科ドイツ文学専修4年次 竹内 和音さん(神奈川県 平塚学園高等学校)

■学科での学びをとおして得たもの
ゼミでは、それまで関心を向けてこなかったテーマについて発表しなければならない場面がありました。そうした時、興味がなかったからといっておざなりに取り組むのではなく、自ら好奇心をかき立てることが大切だということを実感しました。私の場合は、文学作品に登場する人物の心情や性格を想像したり、授業で学んだことを結び付けたりしながら、テーマと自分との接点を探しました。そうすることにより、さまざまな事象を積極的に学ぶ姿勢が養われ、知見を広げることができたと感じます。

■おすすめの科目
印象に残っている科目は、「ドイツ文学・文化演習109」です。先生がピックアップしたグリム童話の作品1つを1カ月かけて丹念に読み込み、翻訳します。たった数ページの作品をじっくりと時間をかけて読むうちに、「どうして主人公をいじめるのは実の母親ではなく継母なのか?」など、さまざまな疑問が湧いてきます。それに対して、当時の社会状況などを調べながら、自分なりの考察を加える作業を繰り返したことで、テキストを深く読み解く力が身につきました。

■卒業後の進路
卒業後は地元に戻り、地方公務員として働く予定です。地方公務員は部署を異動するたびにまったく異なる分野の知識を吸収しなくてはなりません。また、その時の自分の仕事が社会全体にとってどのような役割を果たしているのかを把握する必要があります。そのためには、自分が携わっている仕事だけではなく幅広い知識や経験が求められます。本専修で得た、さまざまな物事に興味を持ち、自ら積極的に学び続ける姿勢は、そうした仕事をするための土台になると思います。

文学部文学科フランス文学専修4年次 山川 啓太さん(広島県 近畿大学附属広島高等学校東広島校)

■学科での学びをとおして得たもの
文学作品を読み解く上で、作品が書かれた背景を知ることは非常に重要な作業です。作品によっては背景を知ってもなお理解が難しいものもありますが、それに臆することなく、真正面から作品に向き合い、理解を深めていく経験を積んだことで読解力を大きく高めることができました。これから社会で経験することの多くは、自分が今持っている知識だけでは対応できないでしょう。しかし、大学で身につけた読解力があれば、必要となる知識を着実に身につけていくことができると考えています。

■研究テーマ
ゼミでは、「文学作品と裁判」をテーマに研究を行っています。小説における裁判シーンは、ストーリーのクライマックスとして描かれることが多く、作品の主題が現れやすくなっています。例えば、ある女性をめぐる恋愛劇が裁判の流れに影響を与えたり、裁判と勾留の往復が主人公の人格に変化を及ぼしたりと、作品を読み解くうえで裁判シーンは非常に重要な位置づけになります。私自身、馴染みの薄い裁判というものをテーマにすることは難しくもありますが、その分、大きなやりがいを感じています。

■卒業後の進路
卒業後は、半導体や電子部品を製造するメーカーに就職します。フランス文学の知識が直接役立つ場面は少ないかもしれませんが、4年間で培ってきた語学力や読解力を生かして、仕事に取り組んでいきたいと考えています。また、社会人になれば、これまで以上に実践的な知識が求められることになります。その際、文学作品の背景にある物事まで調べて理解を深める姿勢は、きっと役立つと期待しています。

文学部文学科日本文学専修4年次 舘田 海光さん(神奈川県 横浜緑ケ丘高等学校)

■学科の魅力
卒業論文が必修ではない点など、学生の自主性を重んじる雰囲気が醸成されている部分に本専修の魅力を感じます。また、意欲のある学生へのサポートを惜しまない、面倒見の良い先生が非常に多い点も大きな特徴です。講義形式の授業であっても、学生が提出したリアクションペーパーに対して授業内での回答をいただけたり、個別にフィードバックのコメントをくださったりするため、学習意欲がさらに高まりました。

■研究テーマ
2年次に履修した日本の近現代詩を取り上げる演習で戦後詩と呼ばれる領域を初めて知ったことをきっかけに、戦後詩の代表的な詩人である鮎川信夫を卒業論文のテーマに選びました。特に、1947年に発表した「死んだ男」という詩篇を中心に据えながら、太平洋戦争で出征を経験した鮎川が戦後初期に詩作活動を始めた過程について掘り下げています。高校時代に沖縄で防空壕として使われた洞窟であるガマに入った経験から戦争についても学びたいと考えていた私にとって、非常にやりがいのあるテーマです。

■卒業後の進路
大学での学びは私にとって非常に楽しく充実したものでしたが、それだけに四年間では足りず、「もっと学びたい」という思いが強くなり、大学院への進学を決めました。今後は専門的な学びを通して、自分の研究をより深めていきたいと考えています。また、取り組む方法は模索中ですが、高校生の頃から抱いていた「言葉を届ける仕事に就きたい」という夢を叶えるために、文章力を高め、他者に伝える力を磨いていきたいと思います。

文学部文学科文芸・思想専修4年次 井原 槙太郎さん(東京都 暁星高等学校)

■学科の魅力
先生方も学生も個性的で、自分の考えをしっかり持ち、好きなことに取り組んでいる自由な雰囲気が心地よかったです。授業外でも、先生の研究室でドイツの哲学書を輪読する読書会が開かれたり、フランス哲学の未邦訳の原書を一緒に解釈する講読会が開かれたりするなど、多様な学びの場が設けられていることも魅力的でした。また、学生が自作の詩を掲載する雑誌「インカレポエトリ」に寄稿するなど、未体験のことに挑戦する機会も多くありました。

■学科での学びをとおして得たもの
どんなことでも「とりあえずやってみる」という姿勢を身につけることができました。最初から興味を持っていた文学や哲学だけでなく、音楽や映画、演劇、ファッションなど、幅広い分野の学びに自分の身を投じたことで、新たに関心を持てることを見つけ、知見を広げることができました。これからも「とりあえずやってみる」の精神を持ちながら、自ら見て、読み、感じ、考える楽しみを味わっていきたいと思います。

■おすすめの科目
3年次に履修した「演習 F24」はとても印象的で、多くの気づきを得ることができました。芥川賞受賞作家である兼任講師の滝口悠生先生による贅沢な授業で、「小説の語り」をテーマに、短編小説に解釈を加えたり、実際に文章を書いてみたりしたことで、小説というものに対する理解が深まりました。この授業をきっかけに、卒業制作では自作の小説を執筆することにしました。文学が好きで創作に興味のある人にはぜひおすすめしたい授業です。

文学部史学科4年次 原田 佳奈さん(埼玉県 大宮開成高等学校)

■学科の魅力
歴史学は、考えることを突き詰め、自分なりの意見を持つことに重点を置く学問です。そのため、さまざまな出来事に対して疑問を持ち、「なぜ」を深く掘り下げる能力を鍛えることができたと感じます。当時の経済状況や宗教観など、着眼点によって歴史の見え方は変化します。「なぜ」を追求することで浮かび上がってくるそうした多重性も、歴史学の魅力の1つなのだと気づくことができました。

■おすすめの科目
「史学講義5」という授業が特に印象に残っています。水道管に使用されていた鉛に起因する、イギリスでの中毒についての講義でした。患者の名簿などの資料を地域や時代ごとに整理し、症状の変化や行政の対応などと紐づけていく手法はとても興味深かったです。統計・地理・政治などさまざまな要素を取り入れて研究を進めていく、史学の懐の広さと柔軟な発想の必要性を実感しました。

■卒業後の進路
さまざまな国の人々とコミュニケーションを取りながら、世界をつなぐインフラを支える仕事がしたいと思い、航空業界への就職を決めました。今後は貨物事業などB to B分野に携わり、ビジネスのグローバル化に貢献したいと考えています。歴史学の知識が直接役立つ場面は限られるかもしれません。しかし学びを通じて得た世界を幅広く捉える視点や、多様性を受け入れるキャパシティの広さ、何事にも根気強く取り組む力は、きっと生かされると思います。

文学部教育学科4年次 大関 遼さん(東京都 東京都市大学等々力高等学校)

■学科での学びをとおして得たもの
社会学や心理学などさまざまな学問の視点から教育について学んだことで、物事を多角的に考える力が身につきました。特に社会学は、社会という共同体の根底を形作る教育という行為がいかに重要なものであるかを教えてくれました。また、社会学を学ぶには、抽象的な事柄を自分の言葉に変えることが必要不可欠でした。そのため、思考を言語化してアウトプットする力が鍛えられたと感じています。

■おすすめの科目
「教育史」は、教育に対する新たな視点を与えてくれた授業です。高校までの日本史の知識をベースに、日本の教育の発展のプロセスについて学ぶのですが、学問と宗教の結びつきが強かった時代において、新しい学派を生み出した偉人たちが、いかに社会に貢献してきたかを知ることができました。柔軟な発想を持ち、考えることをやめない人間の強さに触れたことで、自分の上昇志向も強く刺激されました。

■将来の目標
本学科で過ごした4年間で教育の専門的な知識を学べたのはもちろんのこと、社会に生きる一人の人間として自分の考えを持ち、それを言語化しながら前に進んでいく姿勢を身につけることができました。このように、教育で得られることの本質を教育学科で学びとれたことは私にとって大きな財産になっています。将来はそれを糧に、テクノロジーと教育を結びつけるような仕事に携わることが目標です。

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