150周年を迎える立教——学びをつないで未来をつくる。
立教大学
2023/09/20
トピックス
OVERVIEW
2024年、立教学院は創立150周年を迎えます。歴史と伝統を礎としながら、あらゆる分野の学びをつなぎ、共に生きる未来をつくる取り組みを進めています。およそ150年前、創立者はどのような思いを胸に、立教学院の前身「立教学校」の歩みを始めたのか。どのような道をたどり、これからどこへ向かおうとしているのか。150周年の節目を前に歴史と現在、そして未来に迫ります。
創立150周年によせて
(左)立教学院 院長・立教大学 総長 西原 廉太、(右)立教学院 理事長 福田 裕昭
立教の歴史と伝統、現在とこれから、記念事業などについて学院の理事長と院長・大学総長が語り合いました。
150周年事業の目標「創立から150年の歴史・伝統を礎とし、世界を先導する立教を創る」
西原 立教の歴史は、米国聖公会の宣教師チャニング・ムーア・ウィリアムズが1874年に創立した「立教学校」から始まります。ウィリアムズ主教によってまかれた種が、150年の歴史の中で成長した姿が今の立教です。その種は「精神」であり、それを常に私たちが再確認しながら、深化させていくことが求められます。時代に応じて変化を続けることこそ、立教の伝統ではないでしょうか。立教の礎である聖公会の歴史は、現在のイギリス国教会のカンタベリー大主教が着座する597年までさかのぼることができます。時間と空間を超えたつながりの中に現在の立教があることへの誇りを今、改めて感じています。
福田 ウィリアムズ主教の生涯を語る時に「道を伝えて己を伝えず」という言葉が使われるように、回顧録や自身に関する書物は残されていません。それでも私たちは創立者に思いをはせながら進んでいく必要があると思います。「世界を先導する立教を創る」とは壮大な目標ですが、世界を意識することは大切です。ウィリアムズ主教は江戸時代に長崎へたどり着き、日本の要人にさまざまなことを伝授します。例えば、高杉晋作に米国の民主主義を伝え、大隈重信に英学と聖書を教え、前島密にアメリカの郵便制度について語りました。今、小・中・高・大※では「グローバルリーダーの育成」を進めていますが、そもそもウィリアムズ主教自身がグローバルリーダーだったといえるでしょう。
西原 教育とは一人ひとりの人格を陶冶 し、社会や世界に福利をもたらす尊い働きであるという考えをウィリアムズ主教は大切にし、リベラルアーツに基づく全人格的な教育の重要性を訴えました。本学では真のリベラルアーツ教育に1870年代から取り組んできたのです。私たちは、このことに自信と誇りを持ち、未来につないでいきたいと思っています。
福田 「つなぐ」という意味では、小・中・高・大、大学院、立教セカンドステージ大学で学ぶ人や、保護者、卒業生、教職員など、あらゆる「立教人」が生涯にわたって「立教らしさ」を体現していただくことが大切です。それぞれが感じる立教らしさを引き継ぎ、周りに伝えていただくことで、新たな伝統として受け継がれていくのではないでしょうか。
西原 立教学院では、「テーマをもって真理を探求する力」と「共に生きる力」を育むことを共通の教育目標に掲げ、一貫連携教育に取り組んでいます。各校の自主性を保ちつつ、立教ならではの教育を一層進めるために、2023年4月には一貫連携教育推進室を立ち上げました。これからもキリスト教に基づく人間教育を丁寧に行い、多様な個性や可能性を持つ人間を育てていきたいと考えています。
※ 小・中・高・大:立教小学校、池袋中学校・高等学校、新座中学校・高等学校、立教大学
福田 ウィリアムズ主教の生涯を語る時に「道を伝えて己を伝えず」という言葉が使われるように、回顧録や自身に関する書物は残されていません。それでも私たちは創立者に思いをはせながら進んでいく必要があると思います。「世界を先導する立教を創る」とは壮大な目標ですが、世界を意識することは大切です。ウィリアムズ主教は江戸時代に長崎へたどり着き、日本の要人にさまざまなことを伝授します。例えば、高杉晋作に米国の民主主義を伝え、大隈重信に英学と聖書を教え、前島密にアメリカの郵便制度について語りました。今、小・中・高・大※では「グローバルリーダーの育成」を進めていますが、そもそもウィリアムズ主教自身がグローバルリーダーだったといえるでしょう。
西原 教育とは一人ひとりの人格を
福田 「つなぐ」という意味では、小・中・高・大、大学院、立教セカンドステージ大学で学ぶ人や、保護者、卒業生、教職員など、あらゆる「立教人」が生涯にわたって「立教らしさ」を体現していただくことが大切です。それぞれが感じる立教らしさを引き継ぎ、周りに伝えていただくことで、新たな伝統として受け継がれていくのではないでしょうか。
西原 立教学院では、「テーマをもって真理を探求する力」と「共に生きる力」を育むことを共通の教育目標に掲げ、一貫連携教育に取り組んでいます。各校の自主性を保ちつつ、立教ならではの教育を一層進めるために、2023年4月には一貫連携教育推進室を立ち上げました。これからもキリスト教に基づく人間教育を丁寧に行い、多様な個性や可能性を持つ人間を育てていきたいと考えています。
※ 小・中・高・大:立教小学校、池袋中学校・高等学校、新座中学校・高等学校、立教大学
記念事業と、これから歩むべき針路について
西原 現在、さまざまな記念事業や計画を進めています。大学では、環境などをテーマとした文理融合型の新学部を、池袋キャンパスで構想中です。全学的な学びの面では、全学共通の学びのプラットフォーム「RIKKYO Learning Style」の深化を掲げています。リーダーシップ教育やグローバル教養副専攻、サービスラーニング、データサイエンスといった学びに全学部の学生が、よりアクセスしやすい形を整えていきます。
福田 創立150周年にあたり、ウィリアムズ主教の生き方や思想について考える企画を検討しています。「国際化の取り組み」も重要なテーマで、立教が誇る最先端の英語教育を受け、世界で活躍するリーダーが育ってくれることを期待しています。私は中・高・大の10年間を立教で学び、今、理事長という立場になりましたが、立教の良さを一言で表すと「しなやかな人」を育てる教育だと思っています。漠然とした言い方ですが、課題を解決する力や人の話をよく聞いて物事をまとめる力なども、しなやかさといえるのではないでしょうか。誰かの言うことにただ従うような人間ではなく、一人ひとりが豊かな個性を持っている。そして、それをお互いに認め合える。立教は、そのような人間が育つ学校であり続けたいと願っています。
福田 創立150周年にあたり、ウィリアムズ主教の生き方や思想について考える企画を検討しています。「国際化の取り組み」も重要なテーマで、立教が誇る最先端の英語教育を受け、世界で活躍するリーダーが育ってくれることを期待しています。私は中・高・大の10年間を立教で学び、今、理事長という立場になりましたが、立教の良さを一言で表すと「しなやかな人」を育てる教育だと思っています。漠然とした言い方ですが、課題を解決する力や人の話をよく聞いて物事をまとめる力なども、しなやかさといえるのではないでしょうか。誰かの言うことにただ従うような人間ではなく、一人ひとりが豊かな個性を持っている。そして、それをお互いに認め合える。立教は、そのような人間が育つ学校であり続けたいと願っています。
立教学院 理事長
福田 裕昭 FUKUDA Hiroaki
立教中学校、立教高等学校、立教大学経済学部を経て、株式会社テレビ東京入社。政治部長、執行役員報道局統括プロデューサー、上席執行役員報道局長などを歴任。2022年8月より現職。
福田 裕昭 FUKUDA Hiroaki
立教中学校、立教高等学校、立教大学経済学部を経て、株式会社テレビ東京入社。政治部長、執行役員報道局統括プロデューサー、上席執行役員報道局長などを歴任。2022年8月より現職。
立教学院 院長
立教大学 総長
西原 廉太 NISHIHARA Renta
文学部キリスト教学科教授。博士(神学)。専攻は、アングリカニズム、エキュメニズム、組織神学、現代神学。キリスト教学校教育同盟第28代理事長。日本私立大学連盟常務理事。
立教大学 総長
西原 廉太 NISHIHARA Renta
文学部キリスト教学科教授。博士(神学)。専攻は、アングリカニズム、エキュメニズム、組織神学、現代神学。キリスト教学校教育同盟第28代理事長。日本私立大学連盟常務理事。
150年の歩み 立教大学を中心に
学校法人立教学院
立教大学
立教新座中学校・高等学校
立教池袋中学校・高等学校
立教小学校
創立150周年記念事業
新座新棟(仮称)建設
2023年4月に開設したスポーツウエルネス学部・研究科の拠点となる新座新棟(仮称)の建設を計画中。新座キャンパスの4学部の連携を実現し、イノベーションの創出を目指します。利用開始は2025年4月を予定しています。
「立教箱根駅伝2024」
創立150周年となる2024年の箱根駅伝本選出場を目指した事業。チーム一丸となって取り組み、目標を1年早く達成し、2023年1月の箱根駅伝本選で総合18位という成績を収めました。
旧江戸川乱歩邸施設整備
小説家・江戸川乱歩が住み、2002年に立教大学へ譲渡された「旧江戸川乱歩邸」。老朽化が進む母屋と洋館の改修整備を行い、資料展示スペースの充実を目指します。2024年10月の利用再開を予定。
小学校新校舎建設
チャペルや講堂などがある東棟を除く全ての校舎・教育施設を新しく建設予定。普通教室、各専科教室、その他の教育施設を有機的に結び付け「いつでも、どこでも、だれとでも学ぶことができる学びの場」を実現します。
立教大学における推進中の計画
- RIKKYO Learning Style 第2ステージの推進
質の高いリベラルアーツ教育を一層深化。
- 新学部構想
新時代を切り拓く人々を育成するための学部を構想。
- 国際化の取り組み
多彩な海外体験の機会を提供し、キャンパスの国際化を推進。
- 教学発展を支えるキャンパスの整備計画
魅力ある施設整備に取り組み、両キャンパスの機能と価値を向上。
- 教育高度化に向けた情報戦略の推進
情報インフラを整備し、より高次な情報活用型組織へ発展。
立教学院創立150周年記念サイト
創立150周年に関する多彩なコンテンツを発信する記念サイトを開設しています。ぜひご覧ください。
自校史を学ぶ科目
立教大学の成り立ちや歴史を学ぶ自校史教育に長年、取り組んでいます。全学共通科目で開講する「立教大学の歴史」についてご紹介します。
「立教大学の歴史」テーマ・サブタイトル/担当教員
※「立教大学の歴史/「立教」を創り育てた人びと 立教の先駆者たち」授業スライド
- 立教の沿革史を学ぶ
兼任講師 宮川 英一
- 日本近現代史のなかの立教大学
立教学院史資料センター 助教 太田 久元
- 近現代世界の中の「立教」
立教学院史資料センター 助教 田村 俊行
- 「立教」を創り育てた人びと 立教の先駆者たち※
立教学院史資料センター 助教 田村 俊行
「外国語による総合系科目」の導入科目として開講。授業は、英語教材(映像文書等)を使用して、英語「で」学ぶことを体験する。創立者のウィリアムズ主教をはじめ、立教の発展に尽力した宣教師たちの思想と実践の在り方を考えます。
担当教員の声
授業テキスト
立教学院史資料センター 助教 田村 俊行
本科目では、創立から現在に至るまでの歴史を、先人たちの活動や重要な出来事を踏まえつつ、講じています。建学の精神や本学の特色についての理解を深めてもらい、母校への帰属意識を育て、学生自身の存在意義と将来像の形成を助けることを目標としています。また、授業を通じて歴史学的に考える力を身に付けてほしいと思っています。我々が今、伝統を守ろうとも、変革を求め先駆となろうとも、先人たちの積み重ねの上に立っていることに変わりはありません。そうであれば我々の針路は、過去を通じることで、よりはっきりと認識できるはずです。過去に学び、今を知り、未来を考える。そんな方法があることを、この授業を通じて感じ取ってほしいと考えています。
本科目では、創立から現在に至るまでの歴史を、先人たちの活動や重要な出来事を踏まえつつ、講じています。建学の精神や本学の特色についての理解を深めてもらい、母校への帰属意識を育て、学生自身の存在意義と将来像の形成を助けることを目標としています。また、授業を通じて歴史学的に考える力を身に付けてほしいと思っています。我々が今、伝統を守ろうとも、変革を求め先駆となろうとも、先人たちの積み重ねの上に立っていることに変わりはありません。そうであれば我々の針路は、過去を通じることで、よりはっきりと認識できるはずです。過去に学び、今を知り、未来を考える。そんな方法があることを、この授業を通じて感じ取ってほしいと考えています。
学院史編纂事業『立教学院百五十年史』
2023年2月3日に第1巻を刊行し、今後、第2巻、第3巻の刊行を予定しています。
刊行によせて
立教学院 院長
立教大学 総長
西原 廉太
この度、『立教学院百五十年史』第一巻が発刊されました。『立教学院八十五年史』『立教学院百年史』に次ぐ本格的な「通史」として、これまで未掲載であった資料や新たに発見・整理された資料群が採録されています。日本の学校史としても画期的な作業となりました。立教学院が150年を超えて、未来へとますます発展していくためには、立教が歩んできた道をたどりながら、変わることのない普遍の理念を再確認することが不可欠です。私立学校にとってその生命線は、創立以来の「建学の精神」を不断に確認しながら、それを時々の時代状況の中でいかに革新的に解釈し続けられるかにあると言っても過言ではありません。そこで重要なことは、その「建学の精神」理解が、限りなく正確な自校史に基づいて語られることにあります。この意味で、『立教学院百五十年史』は、今後、立教学院に属し、立教学院を担っていく全ての者が常に立ち帰るべき基盤的文献となることは間違いありません。
立教大学 総長
西原 廉太
この度、『立教学院百五十年史』第一巻が発刊されました。『立教学院八十五年史』『立教学院百年史』に次ぐ本格的な「通史」として、これまで未掲載であった資料や新たに発見・整理された資料群が採録されています。日本の学校史としても画期的な作業となりました。立教学院が150年を超えて、未来へとますます発展していくためには、立教が歩んできた道をたどりながら、変わることのない普遍の理念を再確認することが不可欠です。私立学校にとってその生命線は、創立以来の「建学の精神」を不断に確認しながら、それを時々の時代状況の中でいかに革新的に解釈し続けられるかにあると言っても過言ではありません。そこで重要なことは、その「建学の精神」理解が、限りなく正確な自校史に基づいて語られることにあります。この意味で、『立教学院百五十年史』は、今後、立教学院に属し、立教学院を担っていく全ての者が常に立ち帰るべき基盤的文献となることは間違いありません。
※本記事は季刊「立教」265号(2023年7月発行)をもとに再構成したものです。バックナンバーの購入や定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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