前例がないなら、自分が作ればいい。大学生活でも、就活でも。

大島 康宏 さん  株式会社朝日新聞社(コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科 2019年3月卒)

2019/06/07

キャリアの立教

OVERVIEW

コミュニティ福祉学部の卒業生に立教大学での学生生活とキャリア形成についてお聞きしました。

自分の興味にピッタリはまったコミュニティ福祉学部

僕は小さなころから両目が見えません。3歳の時に病気が発覚。その時点でほとんど目が見えない状態だったそうです。目が両方見えていた記憶はなく、高校まで盲学校に通っていました。ただ盲学校で就職を考えるとなると、あんま鍼灸師の道が多いのが現状。ただ僕は社会学など、もっといろいろなことを勉強したかったし、一般企業に入って働きたかった。そんななか見つけたのが立教大学のコミュニティ福祉学部でした。

社会学と社会福祉学のどちらで学ぶか迷っていた僕にとって、その両方が学べるコミュニティ福祉学部は、ほかのどの大学のどの学部より、ピッタリだと思ったんです。入試は自由選抜だったのですが、立教大学にはしょうがい学生支援室があり、スタッフの方とやり取りしながら、試験方法や試験場所を決めていきました。一から十まで柔軟に対応していただけたので、ここでなら良い学生生活が送れるだろうと感じました。

身近な学生に声をかけることで支援の輪が広がった

視覚障がいの学生はコミュニティ政策学科として初めてだったので、教室番号の表示板や食券販売機に点字のラベルを貼ってもらうなど、一つひとつお願いしながら整備していただきました。先生をはじめとする周りの方々が、「理解しよう」という姿勢で、一つひとつ対応してくださったので、生活に慣れるまでそれほど時間はかかりませんでした。後輩にも視覚しょうがいの学生がいるのですが、「入学後すんなり馴染めた」と話していたので、多少は環境を整えることに貢献できたかもしれません。

同じ学科の友人たちも、最初はどう接すればいいのか迷っている感じがありましたが、今はもう他の学生と変わりなく、気軽に接してくれています。また入学当初はよく活用していたしょうがい学生支援室も、このままでは交友関係が狭まると思い、途中からあえて使わないように。困ったときにその都度、まわりの学生に助けてもらうようにしたところ、人とのつながりがどんどん増えていきました。

留学先のカナダで考えた、真のバリアフリー

地域を活性化するためには、人がやりがいや生きがいを持つことが重要だと常々思っていたので、生涯学習概論の授業はとくに毎回、興味深く聞いていました。授業のほか、大学生活では課外活動も積極的に参加するようにしていて、東日本大震災の復興支援団体に入って代表を務めたり、音声ガイドを付けるなどして誰もが楽しめるバリアフリー映画会を学内で開催するサークルで活動したりと、毎日が充実。2年生の時には一カ月間カナダに留学もしました。

カナダって日本に比べると音響信号や点字ブロックの数は少ないんです。ただそれをカバーできるほど人がフレンドリー。道を聞くとわざわざ目的地まで連れていってくれたりするので、安心して歩くことができました。日本はハード面が進んでいる分、「大丈夫だろう」と無関心になっている側面があるような気がするので、単にバリアフリー化を進めれば、優しい社会になるわけではないのだという、新たな気づきがありました。

たくさんの人の生活を、少しずつ良くしていきたい

以前は自治体レベルから地域を良くしていきたいという夢があったため、公務員や社会的企業、NPOに入ろうと考えていました。ただこういう組織はほとんどが地域密着型なので、一部分のエリアは良くできても、全体として変えるのは難しいと考え始めました。その点、民間企業は幅広く、いろいろな分野に携わることができます。とくに新聞社なら、フォーラムの全国開催などを通じて、たくさんの人の生活を少しずつ変えていけるのではと思うようになりました。ただしょうがい者採用となると、どうしても事務職が多くなります。そこで多少苦労するかもしれないけれど、やりたい仕事ができるならと一般枠で活動しました。

なかでもしょうがい者と一般の枠を分けず、面接を他の学生と同じタイミングで実施してくれたのが朝日新聞社でした。内定をもらえたときは嬉しかったです。とはいえ朝日新聞としても視覚しょうがい者の新卒採用は初めてのこと。どう働き、どう力を発揮していけるのか、今人事の方とやり取りをしながら、柔軟に考えていただいているところです。不安も大きいですが、同時に、前例がない分いろいろとチャレンジができるはずだと、ワクワクもしています。

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