利益の創造と社会への貢献を同時に実現できる文化をつくる
経済学部会計ファイナンス学科4年次 城宝 薫
2015/09/29
立教生のキャンパスライフ
OVERVIEW
在学中に起業した城宝 薫さんのご紹介です。
「飲食店を予約するだけで」社会貢献ができるアプリ
給食を届けたカンボジア・プノンペンの 小学校での様子
2014年6月末、私は「株式会社テーブルクロス」を設立しました。そして2015年3月22日、スマートフォン用のグルメアプリ「テーブルクロス」をリリースしました。これは、利用者がこのアプリを使って飲食店を予約すると、予約人数と同じ人数分、国連WFPや9つのNPOを通してフィリピン、カンボジア、ミャンマー、東ティモール、ケニア、パレスチナなどの途上国の子どもたちに給食が届けられるというサービスです。寄付が一般化している欧米に比べて、日本では寄付への心理的ハードルが高いように感じます。しかし、「テーブルクロス」を使えば「飲食店を予約するだけで」社会貢献できます。利用者の負担金は0。支援金は飲食店が負担する広告費から支払われ、飲食店へは、現地の子どもたちからお礼のメッセージが写真付きで届くこと、お金の行方を第三者機関が監視しているところが特徴です。4月初めの時点で、約400店舗に加盟していただき、「外食するなら予約しよう」の輪が徐々に広がっています。
利益の創造と社会への貢献を同時に実現できる文化をつくる
銀座アップルストアでの サービスリリース会見の様子
この「テーブルクロス」のアイデアにつながる経験は、主に二つあります。
一つ目は、7歳のころに家族と訪れたインドネシアでの経験です。インドネシアでは、当時の私と同じくらいの年齢の子どもたちが、ストリートチルドレンとして生活しており、その姿が幼い私の脳裏に焼き付いて離れませんでした。そのときから、途上国の子どもたちのために何かできないかという思いを持っていました。
もう一つは高校1年生のとき、出身地の千葉県浦安市から姉妹都市のアメリカ・フロリダ州オーランドに親善大使として派遣されたことです。現地でNPOなどの活動を見学する機会に恵まれ、そのときに、人々が「利益の創造と社会への貢献を同時にすることで社会が良くなる」という、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の考え方を持っていることに気付かされました。日本では「得た利益を社会にも還元する」CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が盛んですが、そうではなく、「利益創造と社会貢献を同時にすることが社会から求められている」という価値観が当時のアメリカにはありました。私には、NPO=ボランティアのイメージがあったので、地域の小さなNPO団体でさえも事業を行っていたことが非常に刺激的でした。
一つ目は、7歳のころに家族と訪れたインドネシアでの経験です。インドネシアでは、当時の私と同じくらいの年齢の子どもたちが、ストリートチルドレンとして生活しており、その姿が幼い私の脳裏に焼き付いて離れませんでした。そのときから、途上国の子どもたちのために何かできないかという思いを持っていました。
もう一つは高校1年生のとき、出身地の千葉県浦安市から姉妹都市のアメリカ・フロリダ州オーランドに親善大使として派遣されたことです。現地でNPOなどの活動を見学する機会に恵まれ、そのときに、人々が「利益の創造と社会への貢献を同時にすることで社会が良くなる」という、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の考え方を持っていることに気付かされました。日本では「得た利益を社会にも還元する」CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が盛んですが、そうではなく、「利益創造と社会貢献を同時にすることが社会から求められている」という価値観が当時のアメリカにはありました。私には、NPO=ボランティアのイメージがあったので、地域の小さなNPO団体でさえも事業を行っていたことが非常に刺激的でした。
私は「利益の創造と社会への貢献を同時にできる文化」をつくりたいと考えています。「テーブルクロス」をNPO法人ではなく株式会社としたのも、このビジネスモデルが成功すれば同じように社会貢献を行う企業が続々と出てくる社会が実現するかもしれないと思ったからです。飲食店に限らずホテルやヘアサロン、また、しょうがい者や高齢者向けのサービスなど、「テーブルクロス」のような仕組みがたくさん生まれることが、私にとっては理想の世界です。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。
※本記事は季刊「立教」234号 (2015年9月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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